
光太君に陽子ちゃんや。太陽光発電について色々お勉強しているところだと思うが、住宅用システムには一体どんなイメージがあるか、ちょっくら聞いてもいいかのう?

電気代が浮くとか環境に優しいとか、とにかくいいこと尽くしなイメージがあるよ!

おうちで太陽光発電をするのは、少しハードルが高い気がするなあ。メンテナンスとかも色々必要そうだし…

ふむふむ。確かに光太君の言うように、電気代や環境のことを考えて太陽光発電を始める家庭も増えているんじゃが、陽子ちゃんの気持ちも分からなくはないな。
だが少しくらい不安があった方が、気になることも早めに調べて解決できるというものじゃ。
設置後に「思っていたのと違う!」とならないためにも、良い点も気を付けるべき点もあらかじめ知っておくことが大切じゃよ。

特に光太君はお調子者なんだから、しっかりお勉強しておいた方がいいよ!

わ、わかってるよ!博士、そのお話し、もっと詳しく聞かせて!

もちろんじゃ!では、メリットからデメリットの順に解説していくとするかのう。
メリットについて
光熱費が安くなる!

それじゃあ、まずはメリットの方から見ていこう。
住宅用システムの場合、第一に挙げられるのは何といっても光熱費が大幅に減らせることじゃな。
自家発電システムが無い場合、家庭内で使う電気は基本的に電力会社から買うことになっているんじゃが、自宅で太陽光発電を行って電気を自給自足すれば、電力会社からの購入分をかなり減らすことができるんじゃよ。

やっぱりそうなんだね!

電気は毎日使うものだから、光熱費が安くなるのはかなり嬉しいかも!

ちなみに電力プランによっては、日中の電気よりも夜間の電気の方が安い場合があるんじゃ。
だから日中は太陽光発電で発電した電気を使って、電気代が安くなる夜間だけは電力会社からの供給に頼るといった風に工夫すれば、電気代をさらに抑えることも可能なんじゃよ。

節約のためには、かしこく使うことも大切だね!
売電収入が得られる!

太陽光発電は発電効率が良いがために、発電した電気を家庭内で使い切れずに余らせてしまうこともあるんじゃ。

ええー!せっかく発電したのにもったいない!

まあ落ち着きなされ。その余った電気もしっかり活用できる方法が用意されておる。その方法の一つが「売電」じゃ。

売電って、文字通り電気を売ること?

そうじゃ!使い切れなかった電力は電力会社に売ることができるんじゃよ。
コツコツ売電していれば、システム設置から約10年程度で初期費用の回収も可能だと言われているんじゃ。
光熱費を浮かせ、かつ売電で収入も得られるのは、なかなか嬉しいメリットと言えるじゃろう。

浮いたお金でニンジンがたくさん食べられちゃうね!
蓄電池と併用して災害対策にも

わしらが降り立った日本という国は、世界的に見ても自然災害が多い場所なんじゃ。
しかし、だからこそ国民の防災意識も高く、災害対策グッズを家に常備する家庭も増えているんじゃ。
そんな中でも近年特に需要が高まっているのが「蓄電池」じゃ。

蓄電池があれば、電気を貯めて備えておくことができるんだよね。

陽子ちゃん、物知りだなあ。でも、蓄電池と太陽光発電に何の関係があるの?

蓄電池と太陽光発電“こそ”深い関わりがあると言っても良いじゃろう。
蓄電池には、電力会社から供給される電気を貯めておくことはもちろん、太陽光発電で発電した電気を貯めておくこともできるんじゃよ。
さらに太陽光発電システムは、場合によっては停電時でも使うことができるから、蓄電池と併せて設置すれば安心感も倍になると言えるじゃろう。

電気は大切なライフラインだから、いざという時に備えておけるのはとっても心強いね!
環境負荷の軽減に貢献できる!

ここで2人に質問じゃ。現在、ここ日本の各電力会社でメインとなっている発電方法は何だと思う?

なんだろう、風力?

いや…ぼくは火力だと思う!

おおっ今回は光太君が正解じゃ!

やったー!そうだと思ったんだ!(あてずっぽうだったけど…)

そう、今メインとなっている発電方法は火力発電なんじゃが、火を沢山燃やすと何が起きるかというと、CO2をたくさん排出してしまうんじゃよ。2人とも、CO2は何か分かるね?

二酸化炭素のことだよね。

そうじゃ。そしてその二酸化炭素こそ、ここ数年問題視されている地球温暖化の一因と言われておる。だから火力発電は、決して環境に優しいとは言えんのじゃよ。

なるほど…じゃあ、太陽光発電ならどうなの?

そこがポイントじゃ!実は太陽光発電は火力発電に比べて、CO2の排出量はかなり少ないんじゃ。
つまり、電力会社から購入していた電気を自家発電した電気に置き換えれば、それだけでも環境負荷の軽減に繋がると言われているんじゃよ。

太陽光発電システムを導入することで、環境問題への意識も高まるね!
設置価格は年々リーズナブルに!

これまた一昔前までは、住宅に太陽光発電システムを導入するには約100~300万円の費用が必要になると言われていたんじゃ。

個人宅に設置するための費用としては、安いとは言えないね。

そうなんじゃよ。だから初めに陽子ちゃんが言ったように、住宅で太陽光発電をするのは長い間ハードルが高いと思われてきたんじゃ。
じゃが、ここ十数年で製造コストが下がり、それと比例して導入費用も低価格化した結果、今では100万円以下で設置できる住宅用システムも登場しているんじゃよ。

それくらいの価格なら、おうちでの太陽光発電にチャレンジしてみようと思えるね!

さて、メリットはここまでにしておいて、次はデメリットを見ていくとするかのう。
デメリット
天候・地域・方角よって発電量が左右される!?

太陽光発電は名前から分かる通り、太陽の光をエネルギーにして電気を生み出すんじゃ。
だから、晴れの日に比べると曇りの日や雨の日の発電量は、どうしても下がってしまうんじゃよ。
曇りの日は晴れの日の約1/2、雨の日には約1/4にまで発電効率が低下すると言われておる。

結構下がっちゃうんだね…

天気だけではなく、地域による日照時間の違いやソーラーパネルを設置する方角によっても、発電量は大きく変わってくるんじゃ。
地域による差はある程度は致し方のないことだが、ソーラーパネルを設置する向きなどは、最低限は対策が可能じゃ。
押さえておくべきポイントとしては、「北側にはなるべく設置しない」ということと、「木などの日陰を作る物体は避ける」ということの2点じゃな。

どうして北側には設置しない方が良いの?

北側は日射量が少ないから、発電効率がかなり下がってしまうんじゃよ。日射量が多いとされている南側に比べると、発電量は半分近くも減少すると言われているんじゃ。
メーカーによっては設置自体を禁止しているところもあるくらいなんじゃよ。

住んでいるおうちの屋根はそもそも太陽光発電に適しているのか、事前にメーカーさんに聞いてみた方が良いかもしれないね。
売電価格は年々下がってる!?

さっき、「余った電気を売電できるのはメリットの1つ」だと説明したじゃろう。しかし、実はその売電価格は、年々低価格化の一途を辿っているんじゃよ。
売電制度が生まれた2009年、住宅用システムの売電価格は1kwhあたり48円だったのに対し、10年後の2019年には、売電価格は24円まで下がっているんじゃ。

半分も下がっちゃってる!

まあ、さっきも言ったように初期費用がここ10年でかなり安くなっていることを考えると、全体的に見ればそれほど暴落しているわけでもないんじゃがな。

売電収入が少なくなったら、初期費用分も回収できないのかな?

そこは安心して大丈夫じゃ。2012年から、売電には「固定価格買取制度」、通称FIT法という制度が策定されておるからの。

それって、どういう制度なの?

簡単に説明すると、この制度は「10年間、一定の価格で電力会社が電気を買い取ることを国が約束する制度」じゃ。
FIT法に基づいた場合、売電価格は年度ごとの設置費用相場や、全国の住宅用システム普及量などを参考に設定されることになっておる。
つまり、システムの設置者が必ず初期費用を回収できて、出来る限り損をしない額を毎年度設定しているんじゃよ。

なるほど!じゃあ、これはそこまでデメリットというわけでもなさそうだね。

ただ、数年前に比べると「売電=稼げる」というイメージが薄まっていることは確かじゃ。売電は、あくまでも「初期費用の回収」が一番の目的だと思っておいた方が良いかもしれんな。
メンテナンスは定期的に必要!

時々、「太陽光発電はメンテナンスフリー」という謳い文句を出している販売業者がいるが、あれは大きな間違いじゃ!
なぜかというと、太陽光発電システムは産業用、住宅用に限らず、2017年4月からは「数年に1度はメンテナンスをすること」が義務になっているからなんじゃよ。

そうなの!?ぼくもメンテナンスは必要ないと思ってた…!

提示しているメンテナンス頻度はメーカーや販売店によって違うが、大体は「4~10年に1度は行うように」とどこも言っておる。
そして、費用は1回につき大体2~5万円くらいじゃ。
費用を出すのを嫌がったり、めんどくさがったりしてメンテナンスをしないでいると、最悪の場合罰則を受ける可能性もあるぞい。

ちなみに、定期メンテナンスの時期じゃないけど故障しちゃった場合はどうすれば良いの?

良い質問じゃ!もちろん故障や雨漏れなどの不具合があれば、その都度修理業者に見てもらう必要があるじゃろう。
そういった修理の場合は、メーカーが決めた保証期間内であれば無償で修理を受けられる可能性が高いから、まずはメーカーに問い合わせることが大切じゃ。
何にせよ太陽光発電システムを長く運用するためには、こまめなメンテナンスは必要不可欠じゃよ。
住宅の屋根が傷ついちゃう?

ソーラーパネルを設置するためには、屋根に穴を空けたり、瓦を外したりする作業が発生する場合がほとんどじゃ。
ソーラーパネルをしっかり固定するためには必要な作業なんじゃが、人によってはこの点に抵抗を感じてしまうかもしれんな。

その気持ちはちょっと分かるなあ。

せっかく建てたおうちだもんね。

「できれば屋根に傷をつけたくない!」と思ったら、施工業者に相談してみると良いじゃろう。屋根のタイプによっては、なるべく元の状態から変えずにパネルを設置できる方法があるかもしれんぞ。
反射光が発生するかも!

さっき、「北側は太陽光発電に不向き」と話したが、実は北側にソーラーパネルを設置すると、反射光トラブルが発生する可能性も上がってしまうんじゃよ。
なぜかというと、北側では太陽光の射す角度が低くなるから、近隣の住宅に反射光が当たってしまう確率が高くなるんじゃ。

反射光が原因でご近所さんと喧嘩したくないなあ…

そうじゃろう。だからこそソーラーパネルを設置する時は、
方角をしっかり確認しておく必要があるんじゃ。

でも、北側に設置しないからと言って、反射光が発生する可能性は0じゃないよね?

もちろんじゃ。周辺に建物が多いか少ないかでも、反射光リスクは変わってくるじゃろう。
ただ、近年では反射光を減らすための特殊製法で作られたソーラーパネルも増えておる。
どうしても不安な場合は、そういった製品を選んで対策しておくのも良いかもしれんな。
博士のまとめ

太陽光発電システムの導入で得られるメリットはたくさんあり、
また一見デメリットに思えることも、システムを安心して使うためには必要だということが分かってもらえたじゃろうか。
家族ともご近所さんとも仲良く過ごしながら、安心して楽しく太陽光発電できるのが一番じゃな!